アンテナは屋根や外壁に取り付けたり、窓際に設置したりするだけではテレビの電波は受信できません。電波情報を正確に受け取るためには、アンテナの向きが重要となります。
しかし、この電波の方角はとても細かくシビアに調整する必要があるため、やみくもに向きを調整するだけでは上手く電波を受信できません。
そこで、こちらの記事ではアンテナの正しい向きについて詳しく解説をしていきます。
これからアンテナの設置を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
目次
アンテナの正しい向きについて

まずは、アンテナの正しい向きについて説明していきます。
このアンテナの正しい向きを知ることで、電波を受信できるようになるため、しっかり確認していきましょう。
地上デジタル放送のアンテナの向き

最も一般的なテレビ放送と言えば地上デジタル放送ですが、各地域に建てられている「電波塔」から番組情報が発信されています。
そのため、アンテナは住んでいる地域から最も近い電波塔の方角へ向いていれば電波受信ができます。
例えば一般的なアンテナである八木式アンテナであれば、図の導波器(ディレクター)を電波塔の方角へ向け、その電波を反射器(リフレクター)で反射させる仕組みです。
そのため、導波器(ディレクター)部分を電波塔に向けるよう調整してから設置しましょう。地上デジタル放送のアンテナはぴったり正確でなくとも、おおよその向きが合っていれば電波の受信は可能です。
BS/CSアンテナの向き
BS/CS放送は地上デジタル放送とは異なり、視聴するためには受信契約と専用のアンテナが必要となります。
BS/CS放送は上空約36,000kmにある人工衛星から電波をキャッチして放送をするため、決められた方角にアンテナを向ける必要があります。
方角は、地域によって多少変わりますが、基本的にはBS/CSアンテナの向きは南西方向です。
BS/CSアンテナはおおよその方角が合っていれば受信できるというわけではなく、少しでも向きがずれると電波を受信することができません。
細かな微調整が必要になるため、専門業者に調整を依頼した方が確実です。
アンテナ位置の確認方法
では、自宅のアンテナの方向が合っているかどうか、アンテナ位置の確認方法を見ていきましょう。
近所のアンテナの向きを参考にする
最も簡単で一般的な方法ですが、アンテナ位置を確認するときは、「近所のテレビアンテナの向き」を参考にするとよいでしょう。近所の家であれば、ほとんど同じ電波塔を利用しているため、方向はかなり参考になります。
使用しているアンテナが、八木式アンテナであれば導波器(ディレクター)の部分を参考にし、箱型のデザインアンテナであれば、アンテナの正面側の向きと見比べて調整します。
ただし、BS/CSアンテナは衛星のある方角へ正確に向けなければならないため、近所のアンテナを参考にするのではなく、専門業者に依頼をした方が良いかもしれません。
A-PUBで発信所を調べる
自宅から近い電波の発信所が分からない場合は、「A-PUB」を利用して探してみるのも1つの手です。
A-PUBとは「一般社団法人 放送サービス高度化推進協会」のことで、公式サイトでは都道府県や郵便番号などを入力することで、自宅周辺の発信所を調べることができます。
表示されたアンテナを選択してクリックすると、どこの地域まで対応しているかマップに表示されます。
地域によっては発信所が複数設置されている場所もあり、今まで利用していた発信所とは別の発信所を選択することも可能です。
地図上では大きいアンテナマークと小さいアンテナマークがあり、主となる発信所は大きいマークの場所です。アンテナの向きがずれて調整する場合は、大きいアンテナマークがある方向へ向けるとよいでしょう。
地デジアンテナ調整アプリを使う
近年は、アンテナの位置を確認できる便利なアプリがリリースされています。
アンテナの向きを調整したいときには「地デジアンテナ調整アプリ」をインストールして、自宅近くの電波塔の位置を確認しましょう。
地デジアンテナ調整アプリは、Andoroidのスマートフォンもしくはパソコンから入手することができます。
自宅から距離が近い電波塔に合わせ、電波を遮断しそうな高い建物や樹木がないかを確認してからアンテナの向きを合わせましょう。
電波測定器を使う
アンテナ業者が電波を測定する際には、電波測定器を使っており、こちらを使って調べることが可能です。
ただし、高性能なものは非常に高価で、数万円するものもありますので現実的ではありません。仕事の関係で持っている方や、友人からレンタルできる方は利用してみるとよいでしょう。電波の測定の精度は非常に高いですが、初めて利用する際にはコツが必要です。
アンテナの向き調整するときの注意点
では、アンテナの向きを実際に調整するときの注意点について解説していきましょう。

設置場所を確認してから作業する
まず、アンテナの向きを調整する際は、どこにアンテナが設置するのかを確認してから作業を始めましょう。
屋外に設置している場合は屋根上や外壁、ベランダに良く設置されております。近年では屋根裏に設置している場合もあるため、事前に確認をしておきましょう。
また、室内にアンテナが設置している場合もあります。
室内であれば問題ありませんが、屋根上や外壁、屋根裏のアンテナの調整をする場合には、準備が必要となります。
足場がしっかり固定できるか、風の影響を受けるのか、危険な部分は無いかなどをしっかり確認して、万全の態勢を整えましょう。特に屋根の上は、落下する可能性もあり、大きな事故に繋がる可能性もあります。
そのため、危険作業になる場合はあまり無理をせずに業者に依頼するほうが安全です。
障害物や電界強度に注意する
「アンテナと電波の発信源の間に障害物がないか」「自宅周辺の電界強度はどのくらいか」という点も、アンテナの向きを調整する際に確認する必要があります。条件をクリアできないと電波を正確に受信できない可能性があります。
アンテナの向きが電波塔や衛星がある方向にぴったり合っていても、その間に高い建物や樹木があると電波が通りにくくなります。電波塔の方角を確認すると共に、障害となりそうなものがないか目視で確認しましょう。
また、電界強度は「電波塔からの距離」によって「強・中・弱」の三段階に分類されており、電波がどこまで届くかを表しています。強電界地域であれば、おおよその向きが合っていれば問題ありませんが、弱電界地域では細かい調整が必要となります。
自宅の電界地域に関しては、「一般財団法人放送サービス高度化推進協会」のHPで確認することができますが、あくまでも目安として考えてください。
参考URL:一般財団法人放送サービス高度化推進協会
ちなみに、BS/CSアンテナの電界強度は反射板の大きさで決まるため、こちらは購入するときに注意しましょう。
設置が困難な場合は業者に頼る
ここまでアンテナ向き調整の注意点について解説をしてきましたが、一番大切なところは安全に作業できるのかといった点です。
そのため、自分で無理して向きを調整しようとせず、危険を感じた場合はぜひ専門業者に依頼をしてください。
アンテナの向き調整であれば簡単に感じますが、作業の中にはたくさんの危険が潜んでいます。
屋根の上から落下してしまう危険、アンテナが倒壊する危険、修理でケガをしてしまう危険など気を付けるポイントは様々です。
また、アンテナ調整は向きを正しい方向へ直すだけでなく、テレビ画面に映る「アンテナレベル」を確認しながら行うため、複数人で作業する必要があります。
危険作業に加えて複数人必要な大仕事になるため、費用は多少かかっても専門業者へ依頼した方が確実でしょう。
アンテナの向き調整の修理費用について
では、実際にアンテナの向き調整に関して、業者に依頼した際の相場について説明しておきましょう。
あくまで参考値ですので、実際は各業者から見積もりを取ってもらうようにしましょう。
工事内容 | 工事相場 |
アンテナの向き調整 | 約\5,000~\12,000 |
向き調整だけならと思われるかもしれませんが、ここまでの説明の通り、向きを調整するだけでも細かな作業は必要になります。
また、屋根上の作業は非常に危険も伴いますので、無理をせずに業者に依頼するようにしましょう。
また、業者に依頼することで、アンテナ全体の状況を確認することができます。
見た目でわからない劣化などもあるため、メンテナンスも含めて専門業者に依頼してみると良いでしょう。
まとめ
ここまで、アンテナの向き調節についての情報をまとめてきました。
アンテナの向き調整は簡単に思うかもしれませんが、繊細で細かい作業が求められます。
また、高所作業も多く危険が伴うこともあるため、無理して自分で行わず専門業者を頼ってみましょう。
アンテナを普段メンテナンスすることも少ないため、向き調整とメンテナンスの一石二鳥です。
テレビの映りが悪い、ノイズが入っている等で悩んでいる方は、ぜひ連絡してみてください。
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