日本は海に囲まれた島国であり、海沿いで生活をされている人もたくさんいらっしゃいます。
綺麗な景色に癒される一方で、海辺では潮風による塩害に悩むこともあるでしょう。
その中でテレビアンテナも塩害によって劣化してしまう機器の1つです。
建物や車などの被害を実感することはあっても、アンテナは屋根の上に設置されていることが多く、普段からあまり目につきません。
しかし、アンテナは思った以上に劣化をしていきます。
今回は、この海沿いに住んでいる方のアンテナの塩害について詳しく解説をしていきます。
これからアンテナのメンテナンスを考えている方も是非参考にしてみてください。
目次
設置されている多くは八木式アンテナ

日本で多く設置されているアンテナは八木式アンテナと呼ばれる魚の骨のような形をしたアンテナです。
このアンテナは受信精度が高く、人気のあるアンテナですが、金属部分が露出しており潮風の影響を直接受けてしまいます。
また、設置場所の多くが屋根の上である点も潮風の影響を受けやすいアンテナです。
そのため、アンテナの中でも特に塩害を受けやすいアンテナと言えます。
アンテナと塩害の関係性について
ではまず、アンテナがなぜ潮風によって劣化していくのか、そのメカニズムについて解説していきます。
塩化ナトリウムによるサビ
いわゆる塩害と呼ばれる原因は、潮風に含まれている塩、塩化ナトリウムに原因があります。
この塩化ナトリウムが金属と反応し、酸化鉄を作り、これかサビの原因となります。
日本で最も普及している八木式アンテナは金属でできているため、潮風と反応してサビが発生してしまいます。
潮風と金属がすぐに反応してサビとなるわけではなく、ゆっくりと長い時間を掛けて金属が変化をしていくため、気が付いた時にはいつのまにか腐食が進んでしまっていたというケースが多くあります。
大気中の酸素や水分による腐食
これは海沿いだけには限りませんが、大気中に含まれる酸素や水分、雨水が影響して金属が腐食していきます。
特に海沿いは、潮風に含まれている水分量が多いため、より腐食が進行しやすくなっています。これも、酸素や水分が金属と反応することで、金属の性質が徐々に失われていってしまいます。
塩害がアンテナに与える影響とは?

では塩害によって、アンテナがサビてしまうとどのような影響があるのでしょうか。
アンテナの倒壊や損壊
アンテナがサビてしまった場合に最も注意すべきことは、アンテナの倒壊や損壊です。
錆びついた金属は折れやすくなっており、多少の衝撃でも折れてしまいます。
万が一折れたアンテナが屋根から落ちてきてしまい、隣の家や人にぶつかってしまったら大変な事故につながってしまいます。
サビつきによる受信感度の低下
アンテナは金属部分で電波をキャッチして、テレビを映す仕組みです。
そのため、電波をキャッチする金属部分がサビついてしまうと、上手く受信することができなくなってしまいます。
アンテナすべてがサビついてしまいまったく受信ができないということはありませんが、
上手く受信できずテレビの映りが悪くなったり、映像にノイズが入ってしまう可能性は充分に考えられます。
アンテナの寿命はどれくらいなのか?

さて、海辺に住んでいる方は、これからアンテナのメンテナンスを考えてみようという方もいらっしゃると思います。
ではアンテナの寿命は実際どれくらいなのでしょうか?
アンテナの寿命は10年~15年
アンテナの寿命は一般的に10年~15年と言われています。
ただし、これはアンテナが経年劣化をしたときの寿命であるため、潮風の影響等は考慮されていません。
そのため、海の近くに建っているアンテナはもっと早く寿命が来ると考えられます。
あくまで試算であるため、10年以上経過しても問題なく使用できることもありますが、安全面を考えると安全面や画質のことを考えると10年は一つの基準とした方がよいでしょう。
特に潮風の影響が強い地域では、数年おきにメンテナンスを行った方が安心です。
多くのアンテナが設置してから10年以上経過している
実は、今多くのアンテナは寿命である10年以上が経過しています。
それはデジタル放送への移行の際に、多くの家庭でアンテナを交換しているからです。
日本では2003年からデジタル放送への移行がスタートし、2011年7月までにほとんどの地域でアナログ放送からデジタル放送への切り替えが終了しています。
そのため、メンテナンスをしていなければ、アンテナを交換してから10年は経過していることになります。
問題なく映っているから大丈夫と思われるかもしれませんが、潮風の影響だけでなく、経年劣化や鳥の止まり木となって劣化している可能性は大いに考えられます。
アンテナの劣化はなかなか気付くことができませんが、もしデジタル放送移行後にメンテナンスを行っていない場合、なるべく早くメンテナンスすることをおススメします。
アンテナが落下して事故になってしまった、ということが無いよう、ぜひ今のうちに専門業者へ連絡をしてみましょう。
アンテナを設置するときの注意点

では、メンテナンスをした結果、新しいアンテナを設置することになった場合の注意点についてまとめていきます。
せっかくアンテナを交換しても直ぐに劣化してしまってはいけませんので、しっかり確認していきましょう。
これから新しく海辺の住宅でアンテナを建てるかたにも参考になりますので、ぜひご覧ください。
アンテナのコーティングを行う
まずはアンテナのコーティングをしっかり行うことです。
特に屋根の上など、潮風の影響を受けやすい場所に建てるときには、アンテナの腐食加工やサビ加工をしっかり行いましょう。
特殊な塗料を塗ることで、潮風からアンテナを守ってくれます。
希望をすれば、アンテナ設置を依頼した業者が行ってくれることが多いため、設置する際に相談をしてみましょう。
コーティングをすることで多少の費用は掛かりますが、アンテナの劣化を防ぐためにも、可能な限りコーティングはしっかり行いましょう。
自分で塗料を塗ることもできますが、アンテナ工事は危険作業となり、塗料も人体に影響のある成分が含まれていることがあるため、できる限り専門業者に依頼して対応してもらいましょう。
デザインアンテナやユニコーンアンテナを選ぶ
数あるアンテナの中でもデザインアンテナやユニコーンアンテナは、金属部分の露出が少ないため、潮風による影響が少ないアンテナです。
そのため、アンテナを設置する際には八木式アンテナ以外を選ぶことも良い対策となります。ただし、地域によっては電波が届かない可能性もありますので、しっかりと電波状況を調べた上で選択しましょう。
屋内に設置する
アンテナを屋外ではなく、屋内に設置する方法も有効な手段です。
現在は、アンテナを屋根裏などの屋内に設置することができるようになりました。
屋内であれば、潮風の影響をほとんど受けずにアンテナを設置することができます。
ただし、屋内も電波が届かない可能性もありますので、しっかりと電波状況を調べた上で選択しましょう。
また、屋根裏設置だけでなく、室内アンテナを設置するのも1つです。
塩害に強いアンテナを3種紹介!
では、塩害に強いアンテナ3種類について、それぞれの特徴や設置にかかる費用についてまとめていきます。
デザインアンテナ

デザインアンテナは、箱形のスタイリッシュな形をしており、自宅の景観を損なわないデザインをしています。
また、アンテナの金属部分の露出が少なく、設置場所の多くが壁面であるため、潮風の影響を受けにくいアンテナです。
また、カラーの種類も豊富であるため、壁紙のデザインや色に合わせてアンテナを選ぶことができます。
ただし、八木式アンテナ等と比較すると受信性能が弱いため、地域によっては設置できない可能性もあります。
工事内容 | 工事相場 |
デザインアンテナ本体 | 約\5,000~\12,000 |
デザインアンテナ新規設置 | 約\22,000~\40,000 |
デザインアンテナ交換 | 約\20,000~\35,000 |
デザインアンテナ+ブースター | 約\40,000~\45,000 |
デザインアンテナ+BS/CSアンテナ | 約\40,000~\65,000 |
ユニコーンアンテナ

ユニコーンアンテナはスタイリッシュな見た目と受信性能の強さから、八木式アンテナとデザインアンテナのメリットを兼ね備えているアンテナです。
円柱型のポールをしており、風の影響を受けづらいつくりとなっています。
このユニコーンアンテナも金属部分が露出していないため、潮風の影響を受けにくいつくりとなっています。
ただし、金属部分以外であっても将来的には劣化してくる可能性もあるため、その点は注意が必要です。
工事内容 | 工事相場 |
ユニコーンアンテナ本体 | 約\6,000~\12,000 |
ユニコーンアンテナ新規設置 | 約\30,000~\50,000 |
ユニコーンアンテナ交換 | 約\25,000~\40,000 |
ユニコーンアンテナ+ブースター | 約\50,000~\70,000 |
ユニコーンアンテナ+BS/CSアンテナ | 約\55,000~\85,000 |
室内アンテナ

室内アンテナはその名の通り室内に設置することができるアンテナです。
工事不要で設置することができ、アンテナ自体は安いものであれば\1,000程度で購入することができます。
室内であれば潮風の影響を受けることはありませんが、室内で受信ができるかが大きな障壁となります。
室内で電波を受信するのは思った以上に難しく、他の建物や外壁、室内にある家具などでも電波は弱くなってしまいます。
そのため、電波塔が近くにあり、周りに高い建物がない等の条件を満たしている時に室内アンテナは設置できると考えましょう。
工事内容 | 工事相場 |
室内アンテナ | 約\1,000~\7,000 |
まとめ
さて、ここまでアンテナと塩害の関係性についてまとめてきました。
アンテナの寿命は10年~15年と言われていますが、海辺で生活されている方はもっと早くに寿命が来る可能性が考えられます。
そのため、しばらくアンテナのメンテナンスしていない方は、ぜひこの機会に専門業者へ連絡してみましょう。
そして、交換した後もまずは塩害対策をしっかり行ったうえで、設置後のメンテナンスもこまめに行うよう心がけましょう。
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